屋上で弁当を食べる話

東京魔人學園剣風帖の龍麻と亜里沙の会話。
AIに別の絵を描かせた時に副産物として生まれた絵にそれっぽい話をつけてみたもの。
いずれ付き合うというかもうほぼ付き合ってるので苦手な方は注意。

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 このところ土曜日に真神学園に呼び出されることが増えた。
 旧校舎の探索が理由だ。財宝でもあるのかしらと言う期待はあまりしないことにしている。どこまで続くのかわからない深い地下壕に、不気味な生き物がわんさかいる。お宝を探すどころではない。
 本校舎で昼休みの終了のチャイムが鳴る。これから部活動を始める生徒たちが連れ立ってグラウンドに出てきて、ウォーミングアップを始めていた。
 亜里沙は旧校舎の屋上からそれを眺める。
 ここで待てと龍麻に言われたのだ。自分の用事に付き合わせるのだから昼食くらいは用意すると。
 それにしても他校の、しかも旧校舎なんて勝手に入っていいのかと思うけれど、龍麻いわく教師の黙認のもとらしい。変わった学校もあるものだ。
「悪い、遅くなった」
 屋上の錆びついた扉を開く音とともに龍麻が顔を覗かせた。
「この私を持たせるなんていい度胸してるじゃない」
 軽口を叩くと龍麻が笑う。
「ボロくて危ないからフェンスのほうには近づくなよ」
 そんなことを言いながら、手に持っていた手提げ袋から中身を出して亜里沙に渡す。
「弁当作ってきた」
「あんたが?」
「案外好きなんだ」
 意外な趣味だ。布巾に包まれた弁当箱を受け取って亜里沙は思う。まだまだこの男について、知らないことがたくさんある。
 散乱していた廃材の一部をベンチ代わりにして座ると、さっそく弁当箱を開ける。
「⋯」
 龍麻の弁当と自分の弁当を見比べて亜里沙は気恥ずかしさに固まった。
 卵焼き、唐揚げ、肉団子、ほうれん草の白和え、梅干し。
「中身全部一緒じゃない」
 もちろん配置もそっくり同じだ。
「そりゃそうだろ。どっちも俺が作ったんだから」
「まあ、いいけど」
 亜里沙は呟いて箸を取る。龍麻が不思議そうに首を傾げた。
 無沈着な男だ。きっと旧校舎に呼ばれたのは自分だけではない。このあと他の女子だって来るだろうに。
「他の子に見られたら面倒ねぇ」
「なんで」
「なんでって」
 言いかけてやめた。恋人同士みたいでしょ、なんてわざわざ言うのも癪だ。
 卵焼きを頬張る。薄味のだし巻きで、ちゃんと美味しい。
「美味しい」
「よかった」
 純粋な褒め言葉に龍麻は嬉しそうだった。
「いい顔しちゃって」
 料理が好きだというのは本当らしい。この意外な趣味を他の子は知っているのだろうか。
 風が吹く。
 遠くで運動部の掛け声が聞こえた。
「ねえ」
「ん?」
「モテるでしょ、あんた」
「そうでもない」
 あまりに即答するので亜里沙は思わず笑ってしまった。やっぱり自覚がないらしい。
「何がおかしい」
 龍麻は唐揚げを食べながら不満げに言う。
「なんでもない」
 そう言って弁当をつつく。
 この男は案外誠実で、妙に面倒見が良くて、そしてたぶん、女心が全然分かっていない。
「他の子たち、何時に集合なの?」
「2時」
 まだ30分ほど時間がある。
 自分だけが早く呼ばれた理由は、今は聞かないことにした。